終わりの始まり
読みかけの本の表紙を開くと電気料金の請求書が挟まっていた。
シロネコはその支払い期限が昨日だと確かめると、深い溜息とともに天を仰いだ。
電気だけは止めるわけにいかない。
乱雑に積まれた段ボールの上に、やはり乱雑に置かれた請求書の山。
もうどれを支払って、どれを支払っていないかもわからない。
「店…閉めたらこれ全部保証金で相殺できるんだっけ。」
政府は、“緊急事態宣言”を発表した。これでまた一層の売上減になることは間違いない。
シロネコは西新井でツナマヨ専門居酒屋“ねこまんま”を経営している。2月ごろはまだ呑気なものだったが、3月に入って都知事が会見をするたびに、政府が会見をするたびに売り上げが“ぐんぐんと”減っていった。
どうしたらいいものか。パソコンを触っていた手をとめ、頭を下げて左手の親指で骨に沿って左目の内側を押しながら、ゆっくりと目を閉じる。
「どうやって、被害を最小限にして店を閉店するか。」
本質的な価値
にゃんこ先生は、飲食店のビジネスモデルが変わる歴史的な潮目に直面していることを感じていた。
知り合いの居酒屋は閉店し、スペインバルも閉店し、ダイニングバーは昨年同月比50%近い売上減となっている。
テレビでは盛んにリーマンショック時の状況と比較しながら、売り上げが減った飲食店が悲壮な顔でインタビューに答えている。
「リーマンとは違う。今回は消費が転換しているだけで減っているわけではない。」
事実、新型コロナウイルスによって売り上げが伸びている業界はたくさんある。
外食産業は下火だが、デリバリーや食材の通販は大人気らしい。
確かに、家に引きこもっていても胃袋の数は変わらないし、コロナ景気だからと食事の回数を減らす人もいないだろう。
日本だけでも1.2億人が2.5回食事をするとしたら、毎日3億食の消費は変わらないはずで、それが外食からデリバリーやコンビニや自炊に変わっているだけだ。
つまり、消費が減ったのではなく消費が転換しているだけ。
人は、いろいろな理由で外食をしていたはずだ。
外食が提供していた本質的価値を、店舗での来店だけではなくオンラインでも提供できるのではないか。
にゃんこ先生は顔を上げ、毛布に包まって寝ている飼い猫に目をやった。左手でレモン味の炭酸水のボトルを手に取り、喉を潤す。
「あとは、どう実現するか」
変化に対応した者だけが
にゃんこ先生のスマホとタブレットが同時に鳴り、一瞬遅れてPCの右上にLINEが届いたことを通知された。開いてみると、何かと世話をやいているシロネコからのLINEだった。
おひさしぶりです。3年前に助けていただいた鶴です。
それだけボケられるなら元気そうだね。それとも逆でヤケになったか。
そうか。それもいいと思う。どうやってお店の売上をあげようかと考えた時点で、もうその店は終わりに近づいている。
お見通しですね。はい、どうやったらお店の売上があがるかを本当に1日中考えていて。
従業員もいるし家賃もかかるからそれは仕方がない。でも、経営者が考えるべきことはそうじゃなくて「どうやったらお客さんが喜んでくれるか?」じゃないかと思うのね。
そうですね。お店の売り上げが下がった分だけ、デリバリーとお弁当を始める店が。
それって動機が「下がった売り上げを補填したい」だから、そんなもの売れるはずないのね。
え、でもネット記事とかで良く見ますよ。デリバリーやテイクアウトが活況だって。
シロネコさ、この1ヶ月で何回、飲食店のテイクアウト買った?
なんでって…特に理由ないですよ。家と店にいるので接点がないというか自分には関係がないというか。近所でこんな感じのお弁当が売ってるよとかわかるなら行くかもですが。
そう、お客さん喜んでくれるかな?という動機と、お店の売り上げを補填したいって動機は、全然ちがうから、必ず提供サービスの細部に出る。
喜んでほしい!と思ってテイクアウト弁当始めても、結局、結果は同じで私はそのお弁当買ってなくないすか?
お客さんに喜んで欲しいと思ったら、困ってることを探すだろ?シロネコ、食事について何に困ってる?
うー。最近は引きこもりなのでスーパーの買い物がめんどくさい、作るのがめんどくさい、でも毎食デリバリーは心苦しい、コンビニ弁当もいいんですけど飽きた。色々困ってます。
困ってるねぇ。じゃあその困りごとの解決策を考えてみよう。毎週1週間分の野菜や肉が段ボールで家に届けばいいんじゃない?作るのがめんどくさいのは、ミールキットを届けようか。もう材料とか切って下ごしらえがしてあるやつ。デリバリーは高いから冷凍の通販でまとめて購入できたりとか。他にもレシピとか動画とか、料理も提供方法あるんじゃない?
動機が違うってこういうことよ。“お客さんに喜んでほしい”と思ったら、自分のお店が飲食店だとかどうでもいいの。飲食店が食材通販しても、冷凍のお惣菜通販しても、デリバリーやっても、ミールキット送ってもいいやん。飲食店って仕入れも調理も得意でしょ?
それって、”飲食店は来客したお客さんに料理を提供する”っていう根本から変えてしまうってことですか?
そう。だって困りごとか変わったなら、解決方法も変えるのは普通じゃない?強い種が生き残るわけじゃない、変化に対応した種だけが生き残るって、どこかのおじいちゃん言ってたしね。
店閉める相談だったんですが、なんだか言葉にできないワクワク感と恐怖が両方襲ってきました。飲食店を飲食店じゃなくする。。
ありがとうございます、でもお恥ずかしい話本当に今キツくて、手伝ってもらってもフィーが払えません。もう潰して精算しようかと思っていたぐらいなので。とはいえ、無償で手伝っていただくのも心が辛いです。
そうか、じゃあ来店以外で増えた売上の10%もらおうかな。来店以外で増えた分から出すなら、お互い幸せだろ。
でも、来店以外で1000円しか売れなかったら100円でって申し訳ないでつ。
大丈夫。いいか、来店売上に頼るな。お客さんとの接点を分散しよう。シロネコのお店は、日本で最初のオンライン飲食店になるんだ。来店売上が減ったとしても、それ以外の売上は増えつづける。なんなら、寝ていても売上がたつようになる。
わかりました。本当はよくわかっていませんが、一度は閉めようとしたこの店の命、どうせ死ぬなら最後にパーっともがいてみます!!にゃんでもやらせてください!
Day1.Youtube
うん。シロネコ撮ってもしょうがないから何も話さなくていいよ。まずはアカウントを作って。
え、あ、はい。Googleのアカウントもってるので新しいチャンネルを作成でいいですか?
リンク
料理動画にしようか。自宅でご飯作るの面倒って言ってたじゃん。そういう人に向けて、お店と同じメニューが自宅で再現できるように、家庭用にちょっとアレンジして動画で提供していこう。
え?でもそんなことしたらお客さんお店に来なくないですか?
だってお店と同じものが自分で作れるなら、自分で作った方が安いですし。
𠮷野家の牛丼のタレが発売されたら、もうお店に行かない?
うーん・・・。いや、行きますね。むしろタレ買って玉ねぎと肉買ってご飯炊いて、の方が面倒です。
そうだよね。今回は、動画でまず「食べたい!」って思ってもらう。みんな引きこもりで自宅にいるから、楽しみなんてネットとご飯ぐらいしかないじゃない。3分クッキングみたいな、みんなが、引きこもってる人が、ワクワクして見ながら、今日これつくろう!!って思えるようなご飯の動画を作ろう。
その上で、食べたいと思った人が、その場でデリバリーで頼める、テイクアウト予約してお店に取りに来る、通販で買う、通販で材料を買う、レシピを買う、来店予約する、みたいに、自分が好きな方法を選べるようにする。
え。なんか飲食店と通販と色々混ざった感じで不思議です。
軽く目をつぶって想像しよう。家にいる人がまずYoutubeで動画をみて食べたいものを探す。例えばオムライスを選んだとしようか。プロのふわふわオムライスって作っているとこを見るの楽しいもんな。そこからそれが食べたくなったお客さんは選ぶんだ。デリバリーで届けてもらうのか、テイクアウトで取りに行くのか、来店予約をするのか、レシピをみるのか、食材を届けてもらうのか、ミールキットを届けてもらうのか、商品を冷凍で届けてもらうのか。全部ポチっと押して完了できる。シロネコの店はオンライン飲食店になる。
シロネコの店は、外食産業ではなく食の悩みを解決するサービス業になる。
おおう、まさかシーチキン専門居酒屋がオンライン飲食店になるなんて。Youtubeでは何をすればいいですか?
まずは過去出していたメニューと、今出しているメニュー合わせて全メニューを書きだして、特に人気のものに印つけてよ
はい。メニューが全部で100ぐらい、人気メニューが10個ぐらい。
まずその人気メニューから撮影しようか。細かい材料はnoteに書くから、Youtubeはレシピじゃなく作り方としてプロの技を教えてあげて。家づくりでいうと設計図はnoteに書くから、釘打ってるとことか、タイル貼ってるとこを動画で。包丁さばきとかフライパン煽りとか盛り付けとか、そういう見ていて楽しいやつね。
フライパンさばき、、作ってるところ撮影すればいいんですよね?カメラとか固定にします?
スタッフに撮ってもらいなよ。横長ね。スマホ撮影でOK。あとレシピは別で掲載するから材料とか分量とかは細かく載せなくてOK。うーん。じゃあジャパネット高田の高田前社長を憑依してやってもらっていい?
そういうことか!!わかりました。私のジャパネット力、見せつけてやります!念の為確認ですが、スタッフ大ボーリング大会とかは…
ん?ジャパネット大ボーリング大会とか観たことある?楽しくやろう。遊ぼう。でも、オンライン飲食店とボーリングはちがう。ふざけちゃだめ。
ですよね。 焼肉食べながら店長ダメ出しとかもやめておきます。。
Day2. note
おー初めてにしてはよくできてるよ。今後も試行錯誤していこう。お店が伝えたいこととか全部カットして、喜んでくれることとか、これを見ると困っていた人が解決するということを意識しよう。
note、たまにTwitterのタイムラインに流れてきます。
そう、そのnote、アカウントとって、500円のプレミアム会員に登録して。
リンク
noteではレシピを売る。例えば今回撮影したメニューは何なの?
動画では、フランパンさばきとか、卵の丸め方とか撮ってるでしょ?(撮ってるよね??)noteは、その動画のスクリーンショットを使いながら作り方レシピを公開する。卵何個に、何をどれぐらいの分量で、と。記事は100円〜1000円の有料に設定して公開。
レシピ売っちゃうんですね!でもYoutubeみればレシピ細かいことわからなくても作れるので、レシピって売れないんじゃ?
なあ。一番最初に言ったよな?どうやったら売上が上がるかじゃなくて、どうやったら喜んでくれるかだと。
毎回全部動画見るとか大変でしょ。パラパラめくって何作るか決めたいとかさ。だからレシピだけ分解するの。分量とかもわかるように。なぜなら?
そうね。作ってる動画を公開するのも、noteでレシピを公開するのも、UberEatsも通販も来店予約もテイクアウト予約も全部?
そうだ。その気持ちはサービスの細部に必ず出る。だから、売れるんですか?という気持ちはやめようよ。売れなくてもいいじゃん。我々はお客さんが喜んでくれること、困っている人が喜んでくれることをやろう。どうせ一度潰れかけたお店なんだから、全力で喜んでもらえることしようよ。
わかりました!noteにYoutubeのスクショ5枚と簡単な解説を書いて、有料部分に詳細な分量などレシピを書きました!いくらにしますか?
そうねー。料金って価値に比例するから、100円から1000円までで、自分がお客さんだったらと考えて、価値が低いものは100円、価値が高いものはもっと高めで、つけてみたら?
Day3. UberEats
UberEatsがあれば、動画見た人が1Pushで今みた料理と同じものを食べることができる、喜んでくれそうだよね!
それってさらっと言いましたけどすごいことですね。ネットで動画を見て、食べたい!と思ったら1Pushで料理が家に届くって。
そう。UberEatsの始め方はUberEatsのサイトから始めたいです!っと連絡するだけ。Wi-Fiは自前で用意。
リンク
動画と連動なので、思いつく限りぜんぶ載せた方がよくない?どれを動画で撮影するかわかんないし。
わかりました。早速UberEatsの出店申請します。
えっと、一応お店には出勤して、雑談と言いますか今後のことをミーティングしたり新メニュー作ったり
ちがう。店じゃなく配達員の登録よ。配達員の立場でUberEatsというサービスがどんな仕組みなのか味わったり、他店舗に料理を取りに行ったり、お客さんに料理を届ける経験が、この先何十倍になって戻ってくるから。お金もらえて経験できる、研修みたいなもんよ。
リンク
人生を変える唯一の方法は体験して行動することなんだ。がんばれ。それに給料補填にも使えるだろ。みんな働くんだからみんな同じ体験をしていれば共通認識も持てる。
あと、今は限定6ヶ月の酒販免許が取れるから申請して。UberEatsでアルコールを売るには酒販免許が必要なんだけど、今回のコロナ騒動で在庫のお酒をテイクアウトで売る6ヶ月限定の酒販免許を出してくれるのよ。もちろんテイクアウトだけじゃなくデリバリーもOK。料理と酒が一緒に届いたら、お客さんに?
国税庁ホームページ:
リンク
Day4. PICKS
UberEats申請終わりました!配達員も毎日スタッフと一緒に走り回ってます。これすっごいっすね!あるお店とか梱包が高級な紙袋だったり。
へ?テイクアウトってお店で看板だして待ってるだけじゃないんですか?
そうね、お店からしたら来店して注文してよという気持ちもわかる。でも、頼む側からするとさ、メニューとか値段とか事前に知りたいし、なんなら事前に予約して支払いも終わらせて、取りに行くだけが嬉しい。
あ!テレビでみました。プレオーダーっていうやつですよね!
だって難しそうですし、そもそもアプリとかどこで作ればいいのか
作らなくていい、PICKSってサービスが無料でプレオーダーアプリ使わせてくれる。
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無料?無料でプレオーダーがうちのお店にも導入できるんでつか?
無料の代わりに何か取られるんですか?売上の30%とか?またたびとか?
とりあえず登録しよう。テイクアウトアプリはたくさんあるんだけどとりあえずPICKS入れとけばOK
Day5. TABETE
でもこれだけたくさん用意して、1つも売れなかったら清々しいですね!
そうね、最初は認知取るまでどれだけ仕込むか予想が難しいよね。
うーん。喜んでくれるかな?で考えると、余ったら近所の人に配りましょうか?
いいね!最高。めっちゃ喜んでくれると思う。じゃあTABETEに登録しよう。
リンク
さっきシロネコが言った通りで、お店で余ったものをみんなに配れるアプリなの。
例えば800円のお弁当があったとして、3個売れ残ったとするじゃん?それを余ったので500円で誰か取りに来てーってヘルプを出せるの
TABETEのアプリ自体もちょっとは収入ないと続けられないしね。サスティナビリティってやつ。
800円のお弁当を500円で出品して、決済まではアプリで全部完了。お店に取りにきたお客さんにアプリの画面を見せてもらって商品渡すだけ。手数料として150円をTABETEが受け取るから、お店には350円残るのかな。
材料代ぐらいにはなりますし、何より気分がいいですね。お弁当3個ゴミ箱に捨てるのとかちょっと…。
そうね、あとは余ってもTABETEで出せばいいや!と思えば仕込みや在庫のコントロールが楽よね。
Day6. BASE
確かに。Youtubeみた人がそのままポチッと買えたら全国で喜んでもらえそう。
そうそう。料理の通販はもちろんだけど、食材通販も、ミールキット通販もみんな喜んでくれる。ところで、食品製造許可って持ってる?
しょくひんせいぞうきょか??飲食営業の許可は取ってますが。
飲食店営業許可では、食品の製造販売(通販)はできないの。
その日のうちに食べるものは”飲食物”=飲食店営業許可なのね。その日のうちに食べないものは”食品”になるから、食品製造の許可が必要。デリバリーだからという切り分けではない。例えばデリバリーでも密閉容器に入れた未開封のプリンとか作って売るのは違法よ。
おおう。。難しいですね。営業許可…そう言えば昔冷凍カレーの通販やっていたので、その時とったかもしれません。
おお!じゃあ大丈夫。むしろ冷凍カレーを売るためにはそうざい製造許可と冷凍食品製造許可を取ってるはず。
OK第一段階クリア。食品製造許可は市区町村の判断で取得する内容が変わるので、保健所に電話するのが一番早い。同じものでも、ある地区では食肉製造の取得を指示され、ある地区ではそうざい製造の許可取得を指示されたりする。判断が異なるのでネットで調べるのは意味がない。保健所に電話して相談に行くのがよろし。
さて、何を通販で売るのか。まずはYoutubeやレシピで公開する料理だよね。チルドか冷凍で売ろう。あとは、食材詰め合わせかな。もうみんなスーパー行くの大変だから、週1とか2週に1回、色々詰め合わせて送ってほしいのよ。仕入れ得意でしょ?
そーゆー食品詰め合わせ的なものやってあげてよ。ロスがないように水曜受注の月曜発送とかで。あとはグッズかな。
お、おお。作ってもいいけどなるべくお店で普段使うものにしてあげてね。制服とかエプロンとかそーゆー店で実際に使うやつ。
いまだと、エプロンとか紙ナプキンとかコースターとかですね。
おけ、それから始めよう。とりあえず料理、食材、ミールキット、グッズ、の4種類かな。
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ベイス。誰でも通販サイトが作れるサービスで、超初心者が通販やるのに最適なの。
そうね、登録して自分のお店として売るものの料理と値段と写真を登録していこう。冷凍とかチルド便の送料も調べておいて。
Day7. toreta
BASEすごいっす!いきなりクレジットカード決済使えるし!!しかもほぼ無料!?
これでいつでも通販できるな。次は来店予約やろうか。
いま我々がやろうとしているのはデジタル化なのね。全部ポチッとオンラインにしようとしてるのね。なんでこのコロナ環境下で来店が減っている時にオンライン化をしているかわかる?
キミ見た目通りふわっとしてるねぇ。ゆるふわだねぇ。かわいいねぇ。
照れる。オンラインにしようとしているのは、リアルで会えないからです!!
おお、そうね。来てくれないならお店に来なくても接点を増やそうとしているのね。接点、タッチポイント、チャネル。
良いとか悪いとかじゃないんだけど、たとえばYoutubeで料理しているとこを観て食べたーい!ってなったとして。
ポチッとボタンを押すわけですね、UberEatsなのか、通販なのか、何なのかは観た人が選ぶわけで。
来店予約もポチッと押したいやん。現代人って電話嫌いな人も多いのよ。形に残らないし、会話面倒だし。
なーるほど。ポチッと予約できるサービスあるんですか?
たくさんあるけど、とりあえずtoretaかな。/word_balloon]
リンク
トレタ?聞いたことがあるような。
お店の予約だけに特化したサービスで、予約を元に顧客台帳を作ったりデータ分析したり。
それが一番だよね、ポチっと押して好きな時間で予約確定。
Day8. favyサブスク
来店のお客さんも0ではないので、せっかく来てくれるならもうちょっとお店として何かしてあげられるといいんですけどね。
逆に言うと、5割は売上残ってるんだ?すごいねー!天才。
サブスク?どこかで聞いたことがあるような気がします。
例えば毎月500円払うと、毎回餃子が無料になるとか。
ああー!!テレビでやってました!ランチ定額とかコーヒー定額とか。
サブスクリプションって難しい言葉を使わなければ定額パスポートよ。お客さんは、毎月定額払う代わりに何かサービスが受けられる。
毎月最初の来店の時に500円もらうとかですか?それとも1年分先にもらうとか?クレジットカードの分割とか?
favyのサブスク使えば、毎月決済までやってくれる。
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飲食店のマーケティング支援をやってくれる会社で、毎月XX円を集金してくれるシステムとかこれまでの導入実績とかで、いくらぐらいで何を設定すればいいのか色々提案してくれる。
串カツ田中の飲み放題のやつとか、福しんの餃子のやーつとかは、favyのサブスクシステムを使ってるよ。
わかりました!favyのサブスク申し込みます!常連さんに喜んでもらいます!!
Day9. ラクスル
ありがとうございます!SNSとかはやった方がいいんですか?
そうね、お客さんとの接点なんだからTwitterとInstagramとFacebookページぐらいはアカウントを作って、毎日1枚うまそうな写真載せるぐらいはしてもいいんじゃないかな
本当はあと10個ぐらい足したい。POTLUCKも、Timeeも、Paymeも、AnyCarryも、Chompyも、PayPayも、AirRegiも、AirPaymentも、足したいものがたくさんある。でも、今回はお客さんとの接点を増やすことを優先するから、泣く泣くここまでにしよう。
そ、そうでつね。もうすでにたくさんサービスが増えて。。
じゃあ最後に1つだけ追加しよう。つい忘れがちだけどめちゃくちゃ重要なもの。
忘れがちだけど重要なもの…奥さんの愛情とかですか?
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ひとさまの会社名やサービス名は絶対に間違えちゃダメ。ラクスル。楽に刷れるの。チラシプリント。
楽に刷れるラクスル!!そうか、お店の近所にチラシ配るんですね!デリバリーやテイクアウト始めましたって。
そうそう。今ってみんな引きこもってて、毎日のご飯に困ってる人もいるから、近所でデリバリーやテイクアウト始めたって教えてあげるだけでも喜んでくれる。
やります!でも私イラストレーターとかフォトショップとかやったことなくて。ねこですし。
ラクスルは、チラシのテンプレートがめちゃくちゃ揃ってるから、好きなテンプレートを選んで文字と写真を変えるだけでいいよ。
しかもやすい。場所によるけど、2000部で2万円ぐらい。
えっと、1部10円、それでデザイン費用が0円だと思えば全然ありですね!
いやいやいやいや無理ですよ!だって2000部配るって何日かかるんですか?人件費だけで2万円超えますよ??
デザインをテンプレートで自分で作って、印刷して、ポスティングまで全部いれて、2000部で2万円ぐらい。
信じられません。。。ロボットがポスティングしてるのかしら。
これでお店の近所に告知できるね!飲食店の認知って実はお店の外観とポスティングで8割取れるという話があって。
ボタン一つで印刷からポスティングまでできるなんて。かっこいいチラシ作って手配します!!
終わりの始まりの、終わり
あれからシロネコは変わった。
昼間はスタッフと一緒にUberEatsの配達員として働き、夕方からはYoutube用の料理動画を撮影。
調理しているYoutubeを観て食べたいと思った人が、
・レシピを見て自分で作るならnote、
・今すぐ届けて欲しいならUberEats、
・事前予約して取りに行くならPICKS、
・余った時に通知が欲しいならTABETE、
・食材やミールキットや通販はBASE、
・お店に行きたくなったらtoreta、
・お店のファンになりたいならfavyサブスク
それぞれYoutubeの説明から1タップで、その人の都合に合わせて選べる様にした。
たまたまSNSなどで動画が流れてきて、うまそうなオムライスが作られていた時に、1Pushで家に届いたり、通販で買えたり、来店予約をしたり。
シロネコは自覚なくやっているのだが、これこそがアフターコロナ時代の飲食店が取るべきデジタル変革、デジタルトランスフォーメーション(DX)だった。
今日はシロネコが1つめのYoutube動画を公開する日。
非公開にしていたYoutubeのステータスを公開に変える。
noteの該当記事を公開にし、各種アプリも全てONに切り替えた。
初日だから1つでも売れれば最高だと思っていたシロネコだったが、初日の売り上げは47個。
コレは夢でも見ているのだろうか?
ラクスルで撒いたチラシの効果が大きかった。
お店に取りに来てくれた人は口々に「ご飯に困っている」と言って笑顔で嬉しそうな顔をしていた。
PICKSの手数料は無料だった、売上は全額そのまま店舗に振り込まれる。
UberEatsは安定して注文が入った、これもYoutubeとは関係なく近隣の人からの注文のようだった。
にゃんこ先生の指示で、UberEatsからの注文にはチラシを1枚と、手書きのメッセージを同封した。
BASEの食材、ミールキット、料理の通販は初日売れなかったが、テイクアウトに来てくれた近隣の人は食材の通販に興味を持ってくれ、チラシを持って行ってくれた。
自宅に引きこもっていると、スーパーに行くのも面倒らしい、それにお店が仕入れたプロ用食材が買えるのは嬉しいと。
toreta経由でも予約が入った、これもYoutube経由ではなく直接連絡した常連さんが面白がって予約してくれたものではあったが、忙しく働いている時でもネット経由で自動で予約を調整してくれるのはありがたい。どうして今まで電話とボールペンで予約を調整していたのだろう?
初日、Youtubeの再生回数は35回だった。
Twitter、Instagram、Facebookページを作って投稿したのだが、Youtubeとnoteだけは成果が出なかった。
しかし、この2つは更新すればするほど積み重なっていく資産だ。
お店が営業していない時間でも、シロネコがコタツで丸くなって寝ている時間でも、勝手にお店を宣伝してくれて、勝手に売上を上げてくれる。
営業時間外でも動画でお店の魅力をPRしてれて、通販やレシピ販売などでお客さんに喜んでもらえる。営業時間外でも、来店したい人はtoreta経由で自動予約できる。
3ヶ月後、新型コロナウイルスの影響はまだ残っていて、来店売上は前年同月比40%と散々な結果だった。オンライン経由の売上は来店を上回った。
あとがき:
もしも新型コロナウイルスによる自宅自粛が年内続いたら、1年後も続いたら?3年後も続いたら?
私たちはアフターコロナではなく、ウィズコロナ時代として自宅謹慎生活に対応する必要がある。
生活や需要が変わったのであれば、飲食店も変わらなければ生き残ってはいけない。
強い種が残るわけではなく、変化した種だけが生き残ってきたことを、我々は忘れてはいけない。
この記事が、飲食店を救うほどのインパクトはないにしても、読んだ方が感想を投稿したり飲食店の方がこんなサービスがあるのかとサービスとの接点になったり、誰かが何かを考えるきっかけになりましたら幸いです。
生き残りましょう。
著者より
テレワーク・テクノロジーズ株式会社荒木です。最後まで読んでいただきましてありがとうございます。
読んでいただいたみなさまに2つお願いがあります。
1つめは、飲食店を運営している知人友人がいたらこの記事を教えてあげてください。何かのヒントになるかもしれません。
2つめは、twitterなどSNSでシェアしていただければ、知人友人じゃない飲食店経営者の目に触れますので、やはり何かのヒントになるかもしれない。シェアで救えるお店があります。
テレワーク・テクノロジーズ株式会社 荒木
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メール:araki@telewor.com
※本記事中の写真は筆者が撮影したウェブサイトのスクリーンショットと筆者撮影の写真、筆者作成の図となります。
※本記事に出てくるサービスは筆者が勝手に推薦するものであり、サービス提供各社と弊社の間には何の関係もございません。
※本記事は2020年4月10日に書かれたものであり、各サービスの内容や料金等も当時のものになります。
本記事に興味を持った方は
https://note.com/resdx
https://note.com/yang_ping/
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